Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
黒海沿岸のどこかの小さい町で生れた十七歳のニューラは、ほとんど教育をうけていなかった。ソヴェトの娘としての心持にもめざまされていなかった。伸子たちが、ヨシミとサッサという二人の名を教えても、ニューラはその方がよびいいように昔風に二人をお嬢さんとよんだ。ルイバコフを主人、細君を奥さんとよんでいる。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で、伸子たちをバリシュニヤーとよぶのは辻馬車の御者か町の立売りぎりだった。パン屋の店員でも女市民とよんでいるのに、ルイバコフ夫婦が夏の休暇に南方へでも出かけたとき見つけて連れて来たらしいニューラの、雇女としての境遇は古くさくて淋しかった。
こわいというニューラの言葉から伸子は、この間この建物の別の棟に泥棒がはいったという噂があったのを思いだした。
「ニューラ、その洗濯ものはどこへ干すの」
「物干場です」
「それはどこ?」
「上なんです。一番てっぺんなんです」
やっと伸子にわかりかけて来た。物干場は五階のてっぺんだった。もう夜だのにニューラはそこへ一人で物を干しにゆくのがこわい、というわけなのだった。
「わかったわ、ニューラ、じゃ、わたしが一緒に行ったげる」