Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
素子の眼から暗い脅かしと毒々しい光沢が次第に去った。
「そんなことはわかってるさ」
「変じゃないの、じゃどうして、あんなに、何とも云えないぐらんとした居直りかたになるんだろう。自分でわかる? どんなに――」
醜い、という言葉を云いかねて伸子は、
「普通でないか……」
と云った。
「そりゃ普通じゃなかろうさ、わたしは自分を一遍だって普通だなんて云ったことはありませんよ」
「…………」
素子の、京都風な受口の小麦肌色の顔や、そこから伸子を見ている黒い二つの棗形の眼、くつろいだ部屋着の胸元をゆたかにもり上らせている伸子より遙に成熟した女の胸つきなどを眺めていて、伸子は不思議にたえない心持になった。素子の生理になに一つ女でないことはない。それだのに、素子はどうしてこうまで自分の性をそのままにうけいれようとしないのだろう。伸子より三つ年上の素子が、女学校の上級生ごろから、らいてうとか紅吉とかいう青鞜婦人たちの女性解放の気運に影響されていたというだけでは、伸子に諒解しつくされなかった。素子の家庭で、父と母と母の妹との間に乱れた関係があって、素子の実母への愛と正義感が男への軽蔑や反撥になったとしても、やっぱり伸子にはわかりきらないものがあった。