Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
いそがしく活動している婦人の身ごなしでテルノフスカヤは伸子たち娘たちと、事務的に握手した。そして、テーブルに向ってかけ、タバコを出して素子や娘たちにすすめ、自分も火をつけた。眉をしかめるようにタバコに火をつけているテルノフスカヤの髪は、ひどく黄色くて光沢がなかった。五人の女の中でたった一人タバコをすわない伸子は圧迫される感じで、テルノフスカヤの眼から自分の眼をそらした。テルノフスカヤの眼は黄色っぽい灰色でその真中に真黒く刺したような瞳があった。その目の表情があんまり豹の目に似ていた。精神の精悍さより、何か残忍に近いものが感じられ、それが女の顔の中にあることで伸子はこわかった。
「吉之助さんは、ここに住んでいるんでしょう?」
「ええ。この娘さんたちも彼のところへ来たお客さんなんですが、いま、いそぐ荷作りがあって、彼は自分の室で働いています」
「彼に会えますか」
「じきここへ来るでしょう」
テルノフスカヤは素子と話している。伸子は、秋のはじめのいつだったか雨上りの並木道で、この人には会ったことがあると思った。雨はあがったが、菩提樹の枝から風につれてまだしずくが散るような道を、伸子の反対の方から一人の女が書類鞄を下げて通りがかった。