Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
円くて重いおなかが全身にもとめている安定をみだすことのないゆっくりさで、着実に動いている。
伸子は枕の上からナターシャの動作を目で追った。身もちの彼女の動きがひとりでの慎重さで統制されていることから、伸子はいかにもはじめて母になろうとしているナターシャの若々しさと、赤坊へのかわゆさと夫をこめた自分たちの生存全体へのまじめな評価を感じとった。伸子は、ゆっくり働いているナターシャに向ってねている病人がベッドからものをいう声の調子で訊いた。
「ナターシャ、あなたの旦那さんはどこに勤めているの?」
「彼は学生です。国立音楽学校の声楽科で、バリトーンです」
医科大学の労働者科(ラブ・ファク)に通っている若い身もちの看護婦の夫は、音楽学校の生徒でバリトーン歌手である。そのことを、ナターシャは、ソヴェト以外の国できくことのできない何の不思議もなさで答えた。
「じゃあ、あなたも音楽は好きね」
「オペラや音楽学校の演奏会の切符は決して無駄にしたことがないんです」
また別の日。ナターシャは掃除を終って、ガラスの吸いのみの水を伸子の枕もとのアスパラガスに似た鉢植に注いでいる。