Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
わるくない腕でしょう?」
刺繍を見ている伸子にそのひとが云った。
「お気にいりまして?」
「大変きれいだわ」
「もしおのぞみなら、あなたのために、そういう下着類をこしらえさせることができますよ」
「そう? ありがとう」
伸子は、ぼんやり挨拶した。素子も伸子も日本からもって来た白いあっさりしたものばかり身につけていて、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)でわざわざ刺繍させた下着を買うなどとは思いもよらなかった。
「――彼女はじきこしらえるでしょう。一週間もあれば。――あなたはそれまでに退院なさいますか?」
その云いかたで、伸子は、もしかしたらこのひと自身が刺繍のうまい彼女であるかもしれないと心づいた。そこで伸子は、下着類をたたんで、ありがとうとそのひとにかえしながら、
「わたしたちは、ここで簡単にくらしているんです」
と、下着を注文する意志のないことがわかるように云った。
「見事な下着――そして、上へ着るものは?」
女のひとも伸子といっしょに笑って、
「ほんとにね」
と同意した。
「すべての人は簡単にくらしたいと思っているんです。ただ誰にでもそうくらせるものではないんです」