Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「塩気なしの食事でしょう?」
意外らしく女は伸子の顔を見直した。
「――お前さん、医者の勉強もしているのかね」
「世界中、どこでも腎臓の病人には塩気をたべさせないんです」
「それにしたって、お前さんにゃわけがわかるかね。これほど毎日医者の顔さえ見りゃもうなおったって云ってる者を、何だってまた意地にかかって出さないんだか」
女の眼のなかにまたつかみどころのない非難苦悩があらわれた。女は思い嵩じて、脅迫観念のようなものを感じはじめているらしかった。すっかり連絡の絶えてしまった家族や亭主のことが日夜気にかかるあまり。
伸子は蛋白というロシア語を知らないので困った。そればかりか、この女の体のなかにどんな病気があるのか、どうして伸子にわかることが出来よう。伸子はやがていいことを思いついた。レントゲン照射を受けたかどうか女にきいてみた。
「ああ。やられたよ、来て間もなしに一度と、またこの間。――ありゃ高くつくんだってね」
「心配はいりませんよ、あなたは組合員なんだもの。――医者は、あのレントゲンの写真を見て、まだ癒っていないっていうんだと思います。あなたはそれを見なかったにしろ、彼はよく見ていますからね、それが仕事なんだから……」