Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

提案をしたのは津山進治郎であった。それはあっさり通った。伸子のまたいとこにあたる津山進治郎は、ただ一人の医学博士であるというばかりでなく木曜会には何かの角度から発言権をもつ存在であることが感じられた。

あと味のわるい気もちで、伸子と素子は息ぐるしい室を出た。そして、控間へ出たとき、伸子はそこに思いがけないものを見た。そこから奥の室にいた伸子が丁度見える控間の一隅に、人むれができていた。伸子たちが奥から出て来ると同時にそのかたまりもほぐれて、玄関のホールへ出てゆく人たちの後姿、廊下から階段をのぼってゆく人々。まだそこに佇んでタバコをつけながら、通りがかる伸子と素子とを目送している人達。こんなところに立って話をきいていた人々があった。ベルリンには日本人が千人あまりもいるそうで、そこに三々五々見えている人たちの中に伸子の知った顔はなかった。でも、その人たちは、そこで伸子の話をきき、自然な雰囲気で、出て来る伸子にふれた。冷淡にその人々の間を通りぬけてしまってはわるいと感じた素振りで、伸子は、ちょっと歩調をゆるめた。しかし、何ということもなくて伸子は、身のこなし総体にさようなら、という気持をあらわしながら、日本人クラブの玄関を出た。