Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
重くカーテンをしめこんだ室内では、夜更けのようだった午後九時すぎも、戸外へでてみるとまだほのかに明るい初夏の宵だった。どれも同じな薄黄色い正面入口から歩道へおりて来る伸子と素子に、
「――御苦労さま」
リンデンの街路樹の下にいた日本人のかたまりの中から、中館公一郎の声がよびかけた。
「なんだ、みんな来てたのか」
すぐ素子がよって行った。
「きいていらしたの?」
きまりわるそうにいう伸子に、
「初舞台だっていうのに、きかなくちゃわるいだろうと思ってさ。すすめた義理もあってね。万障くりあわせ」
答えたのは、背の高い頭にベレーをかぶった川瀬勇だった。
もち前のやわらかな口調で、
「佐々さんて、相当なもんなんですねえ」
中館公一郎がいつも、まじめな内容をさらりという調子で云った。
「お歴々一視同仁という光景はなかなかよかった」
伸子は、のぼせている頬に手の甲をあてながら、
「でも、あの半白なひと。――意地わるねえ」
子供らしく訴えた。
「ありゃ、ちょいと来ている男だね。視察にね――はやりだから」
芝居がはねでもしたあとのように素子が、わきから、
「とにかく、わたしは喉がかわいちゃった」