Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「君たち、いま金のもちあわせがあるかい?」

おもに素子に向って云った。

「――たいしてもっちゃいないけど……なにさ」

「君たちに、芝居の切符を買わせようと思うんだ。――どうせ観る気でしょう」

川瀬はそこでウンテル・デン・リンデン街のわきにあるプレイ・ガイドのような店のことをはなし、伸子たちがあらかじめ順序だてて、ベルリンにいる間、見たりきいたりしたいものの切符を買っておく方が便利だろうとすすめたのだった。

「なるほどね、それもわるくないかもしれない」

万更でもなさそうな素子の返事を、しっかりつかまえるまじめな口調で川瀬は、

「こうみえてても、われわれはいそがしいんでね」

と云った。

「君たちにはせいぜい、いろいろ見ておいて貰いたいんだけれど、とてもくっついて歩いていられないんだ。おたがいに負担にならない方法がいいと思うんだ」

「――わたしたちは、はじめからなにも君たちの荷厄介になろうなんて気をもってやしないよ」

「そりゃよくわかっているさ、だからね――妙案だろう?」

川瀬はいくらか口をとがらして、大きな眼玉をなおつき出すように素子を見た。その拍子に、まじめくさっている川瀬の下瞼のあたりをちらりと掠めた笑いのかげがあった。