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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子はそれに目をとめて、おや、と万事につけて川瀬のあい棒である中館公一郎を見た。例のとおりたださえ濃い眉の上に黒く丸く大きく眼鏡のふちを重ねた中館は、眼鏡がもちおもりして見える細おもてを、さりげなく窓の方へ向けて指の先でテーブルをたたいている。その中館の、表情をかえずにいる表情、というようなところにも何だか伸子をいたずらっぽい気持へ刺戟するようなものが感じられる。伸子は、

「あら……なんなんだろう」

まばたきをとめて、当てっこでもするように中館を見つめた。

「――なにがあるの?」

「相談でしょう」

芝居のせりふをいうときのような口元の動しかたで中館が答えた。

自分たち二人分の勘定をはらったついでに、素子がテーブルのかげでこれから切符買いに行くために金をしらべはじめた。街頭に面して低く開いている窓から、ベルリンの初夏の軽い風が吹きこんで来て、その部屋のかすかな日本のにおいをかきたてる。

「川瀬さん!」

ずるいや、という感じで溢れる笑い声で、ほどなく伸子が川瀬をよんだ。

「なに?」

「わかったわ――これはわたしたちにとって妙案であるより以上に、川瀬勇にとっての妙案だったんでしょう?」