Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
それから、和一郎夫婦の処置について。それほどまとまったことでなくても、とにかく何かにつけて、おちおち父と話しているような落付きさえないホテル暮しの毎日が、伸子には苦しい。四十日の航海の間、絶えずしっくりと行かなかったらしい和一郎夫婦とのことが、泰造を苦しませていないわけはないだろうし、現在、和一郎が益々両親夫婦に反撥して、神経をたてている、それが父親である泰造に何も感じさせないこともあり得ないと思える。伸子には、しんみり父に甘えたい気分がある。それといっしょに気がかりなあれこれを年かさの娘らしく話しあってみたい心をもっているのだった。
ところが泰造の方は、せめてパリにいるときだけは日本のことからできるだけ離れていようとしているようだったし、外出している間だけでも、ホテル・アンテルナシオナールとそこの一室で、沢山の荷物とともにごたついている妻や息子たちのいざこざから自由になっている自分をたのしもうとしているようだった。
泰造は、そのときも、ふっさりとしりぶとな眉毛のある年よりの快活で血色のいい顔に、ひときわ屈托のなさそうな、明るい表情をたたえてプラタナスの樹かげにたたずんでいるのだったが、素早く指を一本立ててタクシーをとめた。