Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいチャンスだから、ひとつパリの骨董店を見せてあげよう」

泰造は運転手に向ってボナパルト街と、行先を告げながら腰をおろした。こんな風な骨董商歩きも、東京で、泰造と伸子とが一度ならずつれだったなぐさみである。

タクシーのなかで、伸子は軽く父の手を自分の手のなかへ執った。その動作で、泰造の注意を自分の言葉に集注させるようにしながら、

「ねえお父様、アンテルは、お母様にもう無理よ」

と云った。

「きのうも、ここには煽風機もないんだね、って歎いていらしたことよ。何とかしなくちゃ」

「うーむ。どうしたものかね……」

泰造は、避けて来ていた重苦しい問題の前に心ならずもひき据えられた表情になった。

「どこかさがしましょうよ。夏なんだから、もう少しは居心地いいところでなくちゃ、体のためにわるいわ。――お父様、賛成なさる?」

「そりゃ大いに賛成ですよ。しかし、さがすにしても時間がない」

「お父様が賛成なら、さがす方は、わたしたちがやるわ。ただ、わたしたちのつき合いは狭いんだから、お父様が、いろんな人に会ったとき心あたりをきいて下さらなくちゃ」

「そりゃいいとも! 早速そうしよう」