Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

それが、ことのはじまりらしかった。和一郎の主張は、和一郎と小枝が今度の旅行でつかうべき金額全部を、この際、はっきり計算して、親たちの会計からわけて貰いたいというのが眼目だった。

「急にそんなことを云い出されたって、わたしにどうしようがあるもんじゃあるまいし――第一、お父様もいらっしゃらないのに」

娘をあいてに、いきさつを説明しているうちに神経的に喉のつまっていた多計代の声が、段々自然に出るようになって来た。

「第一お前、あのひとたちに、お金をみんなわたしてなんか御覧。半年のところが三月で消えてしまうにきまっているから……」

親たち夫婦とつや子がペレールへ引越して間もない或る朝、泰造がワグラム広場で和一郎夫婦にでくわしたことがあった。午前十時すぎごろ、若夫婦が広場の角のカフェーのテラスで、めいめいの前に葡萄酒のコップをおいて、のんびり往来を眺めていたところだった。小枝が目ざとく歩道を近づいて来る泰造を発見した。

「――お父様よ」

と云ったとき、もう泰造は二人のわきへ来た。その場では泰造らしく、小枝に機嫌のいい調子で口をききながら、自分もコーヒーを一杯つきあって、わかれて行った。