Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

挑むように娘を見た。

「伸ちゃんの主義は、決して妥協しないっていうのかと思っていたのに」

その調子は、一時の驚きがすぎて多計代がふだんの多計代に戻ったという証拠だった。伸子は議論をさけた。

「お母様、どんなときにも和一郎さんにおどかされる癖をつけちゃだめよ。よくて? あのひとのためにだってこわいことだわ。お母様はよけいな刺戟的なこと云わないで、毅然としていらっしゃればいいのよ。そして、やっぱり事務的なことは事務的に早くかたづけた方がよくはないのかしら」

「お金のことかい?」

「そうなんでしょう? きょうのさわぎにしたって」

「そりゃそんなようなもんだけれど」

多計代は、金の問題を意識的にさけた。多計代は長椅子の上に両脚をのばしたまま向きをかえた。あけはなした露台から、ブルヴァールを越えてひろく夕空が見晴らせる位置になった。

「和一郎が椅子をふりあげたとき、あのひとの手をそこでつかまえているのが誰だか、わたしにははっきりわかった」

前後のつながりなくつぶやく多計代の声を、伸子は憂鬱に聴いた。多計代の調子は特別に重々しく、そのことが、彼女の意味しているものを伸子にさとらせた。