Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
平次はそのうちの一人、夜道をかけて江戸へ行く早飛脚を見付けると、たった三つしかない一朱銀のうちの一つを、先刻書いた手紙にクルクルと包んで、飛脚の眼の前へポンと投りました。
「おや?」
思わず立止まって、それを拾い上げた飛脚は、クルクルと懐紙をほぐして、店先の灯に透かしましたが、四方に投げた人影もないのを見定めると、腹掛の中へポンと落して、サッと戸塚の方へ飛びます。
始終の様子を物蔭から見た平次、忍ぶともなく跫音静かに元の部屋に帰りました。
「足を折るのが一番いい、――血を流すと事面倒だ」
「一人だけ、この宿に踏止まって、役人の方を引受けるつもりなら、少しぐらいは傷を負わせても差支えあるまい」
漏れて来るのはこんな言葉です。平次はさすがにギョッとしましたが、思い直した様子で、静かに入ります。
「これ町人」
「ヘエ――」
「出入りには挨拶ぐらいするものだぞ。いきなり唐紙を開ける奴があるか、馬鹿野郎」
「ヘエ、相済みません」
絡み付いて来るのを、平次は軽くかわしました。
「飯が済んだら腰の物の手入れをしよう。いざという時、武士の魂が役に立たなくては済まぬ」
「いかにも、それはいいことに気が付いた」