Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
ね、親分、三十になるまで、独り身が面白くてたまらない兄貴だったんですもの。家の者なんか捜すより、外へ出て、町内の娘や後家をあさってごらんなさい。嫂のお雪さんに怨みのあるのが、ざっと私が知っているだけでも十人はありますぜ」
吉三郎の言葉は露骨な棘を含んでおりました。美貌の兄に対する憤懣と、抑圧された情慾のハケ口が、場所柄も何も考える遑もなく、熟れて潰れた膿汁のように、果てしもなく噴き出すのです。
「それで、お光が怪しいというのか」
平次は独り言のように呟きました。この男の毒気に中てられて、さすが、探索の意気込みも挫けたのでしょう。
「怪しいのはお光ばかりじゃありません。女房を貰って三月経たない兄貴と変な噂を立てた、師匠のお角だって、白紙じゃありませんよ」
「師匠のお角?」
「猿屋町の小唄の師匠ですよ、お光の粉屋から一軒置いて隣の――」
この男の呪いを聞いているのは、平次にも少し鬱陶しいことでした。
「ところで、中毒を起したのは朝の味噌汁だ、――家の外の者が味噌汁へ細工をすることが出来るだろうか」
平次はこの男の呪いの口を閉してやるつもりで、ツイこんな事を言った様子です。