Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
両国橋へ差かかると、後ろからバタバタと追いすがる草履の音。
「親分、銭形の親分さん、ちょいと」
振返ると、利助の娘のお品が息を切って、追いすがって参ります。
「どうしたんだ、お品さん」
「親分、本当に済みません。父があの通りで」
「何を言うんだ、お品さん、橋の上なんかで泣いちゃ見っともない」
「植込みの向うから銭を投って、眼を潰そうとしたのは、銭形の親分に相違ないと思い込んでいるんです」
お品は人目も憚らず、忙しく袖口で涙を拭きながら、平次の耳へ曝き加減に、こう言います。
まだ、充分に若くも美しくもあるお品、後家とも見えない艶やかさが橋の上の人足を澱ませて、平次をすっかりハラハラさせるのでした。
「銭形の親分は、決してそんな方じゃない。『七人の花嫁』の時だって、『たぬき囃子』の時だって、この間の『富籤政談』の時だって、親分の潔白なお心持は解りそうなものじゃありませんか。いくら商売敵だかは知らないが、物を投って、人の眼を潰そうなんて、そんな親分じゃありません――て言うと、お前は銭形のに――」
お品はハッと言葉を切って、赤い顔を俯向けてしまいました。口の悪い利助が、「お前は銭形のに惚れているからだ」