Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme

Aozora Bunko

若党の勇吉は眼を廻したまましばらく玄関の板敷に抛っておかれましたが、御方便なもので、これは独りで正気に還りました。さすがに面目ないと思ったものか、コソコソ逃げ出そうとすると、

「これこれ勇吉」

小田島老人が後ろから呼止めます。

「ヘエ、ヘエ」

「一体これは何という態だ。大事な若様を預かりながら、腰を抜かしたり、眼を廻したりする奴があるかッ」

「ヘエ――」

「第一、何でお前だけ先に帰って来たのだ。奥様方はどうなすった。判然言えッ」

昔気質で、容赦がありません。

「ヘエ――」

勇吉というのは、二十五六の好い若い者、見たところは、充分賢そうでも、強そうでもあるのですが、何の因果か生れ付きの臆病者で、――「腰抜けのくせに勇吉とはこれ如何に?」――などと、のべつに朋輩衆から揶揄われている厄介者だったのです。

「頭を掻いて済むどころではない。何が一体お前を取って食おうとしたんだ、言わないか」

「ヘエ――、どうも相済みません。両国の人混みの中で、奥様やお女中方を見失ってしまいましたが、どうせお帰り支度のようでしたから、浜町へ一言お断りして、若様をおんぶしてやって来ると――」