Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
「…………」
平次は眉を顰めました。悪気はなかったでしょうが、せっかく生湿りの土に残しておいた泥棒の足跡などは、滅茶滅茶に踏み荒らしております。
「旦那、泥棒の足――って言いますが、随分大きいんですね。私のとあんまり違いませんよ」
わずかに残る足跡へ、釜吉は自分の足を持って行って重ねて見せるのでした。年配三十七八、深川生れを自慢している男ですが、荷揚人足から正直さを見込まれて、浪花屋のお勝手向きの小用を足し、時には飯も炊けば、庭も掃くといった調法者です。
「おや? 泥棒の足跡へピタリと合うじゃないか」
八五郎は驚いて口を出しました。
「だから不思議なんで、まるで俺がやったようなものだ。もっとも俺がやるなら、この三層倍もでっかい穴を明ける」
どうも少し調子が変です。
「昨夜川開きに出掛けたのは何人でしょう」
平次は又左衛門のむつかしい顔を見やりました。商売にも道楽にも強いと言われた又左衛門は、町人らしくない線の太い男です。
「皆んな出かけましたよ。留守番は私と釜吉と、下女のお久だけで、――その代り三人は家からちょっとも出ません」
「その頃やられたんですね。お隣が近いから、夜中じゃこんな荒仕事は出来ません。