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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme

Aozora Bunko

佐野屋九助は合槌を打ちます。

「討たれた人には、妻子も身寄りもなかったのでしょうか」

主人の甚兵衛はそんな事が心配になる性分でした。

「私と女一人を争ったくらいだから、女房や子のあるはずはない――が」

「なるほどね」

「でも親類縁者がある。今日名乗って来るか、明日は出会い、敵を討たれるかと、全く生きた心地もなかったが、――それもしかし当座のうちで、五年と経ち、十年と経ち、二十年、三十年と経つと、敵討の心配は段々なくなって、今度は、胸一つにこの秘密を畳んでおくのが、三十年越しの溜飲に悩まされるようで、どうにもたまらない重荷でしたよ」

「いかにも」

「人間はやはり、内証事というものを胸一つに畳んで保てないように出来ているのでしょう。――今晩という今晩、三十一年目で打ち明けて、肩から千貫の重荷が取れたような気がします。いやはや」

藤枝蔵人はそんな事を言って、自分の肩をトントンと叩いて見せるのでした。

「今頃になって、ヒョイと敵討が現れ、正面から名乗って出たとしたら、どうする心算です? 藤枝さん」

甚兵衛はハチ切れそうな好奇心の持主です。

「私も取って六十一だ、命の惜しい年ではない、――敵が名乗って出て来れば、喜んで討たれますよ。