Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
三州の藤太の命より大事にしていた立派な煙草入の中に、鍵が一つと丁寧に畳んだ紙片が一枚入っていて、それにはこう書いてあったんだそうです。『大舟町市兵衛百四十四夜』――と」
「大舟町? 市兵衛? 百四十四夜?」
「煙草入は持って来て、父さんが預かってありますが、何の事だが、ちっとも判りません」
「…………」
「残った二人の悪者が、江戸のどこかで逢って、五千両の御用金を始末するのも近いうちでしょう。駿府からわざわざ知らせてくれた事でもあり、ここで曲者を縛って、五千両の御用金をお上の手に返せば、父さんもどんなに顔がよくなることでしょう。――でも」
お品はうら悲しそうでした。三十年も鳴らして来た石原の利助の名も、老衰と病気で近頃はしゃっくりを止める禁呪にもならず、近いうちに十手捕縄をお取上げになるだろうという噂さえ立っているのです。
「お品さん、心配することはないよ。俺で出来るだけのことはやってみよう。手掛りさえありゃ、手繰って手繰れないことはあるまい」
と平次の無造作さ。
「親分」
お品は口もきけないほど打たれておりました。江戸開府以来と言われた、名御用聞銭形平次が引受けてくれさえすれば、土壇場に据えられた親の利助の名も、どうやら救うことが出来るでしょう。