Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme

Aozora Bunko

「父上は? お礼どの」

金十郎は一と目で見尽される家の中に、宵のうちに三河屋から帰ったはずの藤枝蔵人が居ないのを不思議に思った様子です。

「ツイ先刻、出かけて参りました」

「風呂かな」

フト金十郎はそんな事を言って、自分の考え至らないのに苦笑しました。もう町風呂などのある時刻ではありません。

「いえ、三河屋さんから帰って来ると、手紙を見てすぐ出かけました。妙な事を言って」

「ホウ」

「私は心配で、どうしようかと思っておりました」

お礼は若い男の前も忘れて、泣き出しそうになります。

「それはさぞ心配だろう。――その手紙を、ちょっと見せて貰えまいか」

「父が持って行ってしまいました」

「フーム」

「余程の大事でしょう、あんなに落着いた人が、ひどく取逆上せて、変な事を言いながら飛んで行きました――が」

「果し状ではあるまいな、――それなら左り封じになっているはずだが――」

「さア」

お礼はそこまでは気が付いていなかったのです。

「ともかく、その辺を捜して上げよう、提灯を貸して下さらぬか」

三河屋からここまではほんの二三町、月がなくとも、提灯にも及ばなかったのです。

「私も御一緒に参りましょう」