Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
辺りの若楓の樹は、浅いみどりでここの場所を人目から隠している。
とうとうと地軸を震わせている滝の音は、そのまま自分の血の音のように武蔵は思われた。滝つぼの狂瀾と奔流を見て、遽に駈け出して行った城太郎の本能と似たようなものが武蔵の体にも、もっと烈しい性能を帯びて潜んでいる。
それにここ幾日の間、宿屋の燈火の下に、らんらんたる太陽の下に、お通の肉体を種々な光で彼は見ていた。或る時は、芙蓉の花のように汗ばんだ皮膚を、或る夜は屏風をへだてていても漂ってくる黒髪のにおいを。――年久しく、磐石の下に虐がれていた愛慾の芽はそうして、遽に彼の胸に育てられていた。草いきれのように鬱陶しいものが、むらむらと、眸を曇らして来るのであった。
「…………」
ふいと、武蔵はそこを離れた。いや、逃げるようにであった。
お通を置き放して、彼方の道もない草むらへはいって行った。なにか、突然くるしくなったのである。口から炎でも吐くように、膨ちきれそうな血を、体から少し捨ててでもしまいたいような心地だった。城太郎のように、暴れ出したかった。そして、まだ冬草の枯れたのが、背高く生い茂っている静かな陽だまりを見出すと、