Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
行軍からは落伍するし、馬は起たないし、汗だくになって、焦々していた歩卒は、
「こいつら! 何云うか」
槍の柄で、唐黍の首を横に撲りつけた。
わっ――と逃げる子供の群れに突かれて、桑畑の畔に蹌めいて、痛そうに眼をうるませていた若い女が、ふと、足軽達の眼にとまった。
「? ……」
見ていると、女は、踏まれた足の土を払って、そこへ取り落した四角な――重箱でも包んであるらしい――その包みを抱え拾って、そして、自分達の方へ近づいて来た。
「あの……ちょっとお伺いいたしますが」
「あ、何だね」
美しい女性を見ると、汗も涼やかに乾くように、足軽たちは各息を休めた。
「ただ今、ここを通りました御軍勢は、大谷刑部様の御家中でございましょうか」
「うんにゃ――」と、首を振って――「吾々は、小笠原秀政の手の者だ」
「では、その前にお通りになったのが」
「いやいや、今日、先頭に参られたのは、本多忠勝様の隊と、榊原康政様の隊」
「では、大谷様の御人数は」
「さ……刑部少輔様は、越前の敦賀城から御発向で、やはり今度の上杉攻めには、徳川内府様の軍に従いてお出ましになるとは聞いていたが、いつ頃この辺を通るやら?」