Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans

Aozora Bunko

三

わしはかえって、御主人のその烈しいものに引出されて、

「お、おそれながら、……暫時、暫時、お人ばらいの程を」

いうと、御主人は、くわっと、眦を裂くようなお顔で、

「何、人払いと。そちは、忘れ物を届けに来たのではないな!」

「は……はい」

「おのれ。……人払いなどして、何をこの光秀に申そうというのか。いえ。ぬかしおれ。人払いには及ばん」

「死、死を賭して、参ってござりまする。……孫平治が、生涯のお願いを」

「生涯の願いだと。ふふム……さてはおのれ、宵に、光春との密談を、ぬすみ聞きしおったの」

御主人はいって、体じゅうに、かつて、人に見せた事もない昂ぶりを顫わせながら、京の方を指さしていわれた。

「わが兵馬は、備中へは向わぬのだ。わが敵は、本能寺にある。――そう光秀は今、ここで全軍へ宣言したところだ。人ばらいなど無用。申したい儀があらば大声でいえっ」

三

たとえ、御主君に対してであろうと、わしは正しい事をいうのだ。お諫めするのだ。天に代って声を放つのだ。

そういう気持が、途端に、わしの声を胸から衝き出した。夢中で申し上げた。

「あなた様には、天魔が魅入ったのでござりますか。