Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
六
そこもとが病態を作られれば、重役方は、かえって眉をひらこうというものでござる」
と、云った。
しかし、与右衛門は断乎として、その年から治水工事に着手した。
同時に、あらかじめ藩庁の許可をうけてある令をもって、津軽平野を囲む一帯の村落百十余ヵ村へ対して、人税を課した。
人税というのは、一戸当り幾人という労力を、月割に徴発することで、勿論、無報酬の労働なのである。
六
「飛んでもねえ事になって来たぞい」
「何じゃああの棟方与右衛門ちゅう奉行は、あんでもえ、足軽頭だったというでねえか、足軽に百姓のことが分ってたまるもんでねえ」
「稗すら食いかねるっちゅうに、この上、人税などと、おらたちの血までしぼる気か」
百姓たちは、俄然、不平を鳴らし出した。
それでも、一夏から秋までは、各村の庄屋や年寄の慰撫で、渋々ながら、課せられた人員は仕事に出た。
だが、渺茫たる大自然の下には、蟻が穴を穿ったほどの工事の跡も見えない。多少、予定工事が進んだかと思えば、一日の豪雨で洗い消されてしまう。
冬は、仕事が出来ない地方である。予定の二ヵ年はとくに過ぎて、藩地のほうでも囂々と、非難の声があがっていた。