Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
柳生月影抄
弟の窓・兄の窓
一
弟の窓・兄の窓
一
紺屋の干し場には、もう朝の薄陽が映している。
干瓢のように懸け並べた無数の白い布、花色の布、紅い模様のある布などが、裏町の裏から秋の空に、高々と揺れていた。
「そんな身装で、近所の人目につく。――お駒、もういい、家に這入っておれというに」
又十郎宗冬は、叱るように、後から尾いて来る彼女へいったが、お駒は、
「そこまで」
と、いつもの癖のように、妾宅の露地から小走りに――ゆうべの寝髪のまま――往来の角まで彼を送って出た。
そして又十郎が、振向きもせず急ぐ背へ、
「よござんすか。待っていますよ。――あさってですよ。あさってまた」
と、露地の陰から、二度もいった。
――浅ましい!
又十郎は、ぞっとするほど、その時は厭な気もちに襲われるのだった。あさってまた、この露地の家へ来るのかと思うだけでも、負担であった。
遁れるように足は急いでいる――。まだ露じめりのあるゆうべの笠を、銀杏なりのまま、横顔へ深くすぼめて、
(もう通うまい。父にもすまぬ。――いや世間に対してだって)
独り抉るほど、慚愧をむねに繰返すのであった。
世間は眼まぐるしく活動している。