Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
等、等、等――刑部はいくつもの理由をあげ、
「治部、頼むから、今度の企ては思いとまってくれ」
と、誠意を面に燃やして云い、さらに、
「――なぜ、安国寺へ打ちあけるくらいなら――いや直江山城に囁く前に、一言、越前敦賀まで、使いを飛ばしてはくれなかったか。わしは、それが悔やまれる。平常の疎遠がわるかった」
と、歯の根を噛んで云うのであった。
三成は、打たれたように、黙っていた。
だが、彼としては、もう退っぴきならぬ所まで、こうしていても、大事は進んでしまっているのだ。
また、家康と彼との間は、要するに、合わない仲で、われ彼を打たねば、彼われを打つという宿命的な立場にもおかれている。
おのれを知る者のためには死す――という侍の道からいえば、太閤殿下の恩顧をかざし、浮薄な人心へ、皷を鳴らすことだけでも――と、その決心の程は、さすがに、固いものなのである。
「困った……困ったことよの……」
刑部は、繰返すのみだった。
「やるなら、やるで、山城などがああせぬうちなら、家康の首を奪る算段も、ほかに策がないでもないに……今となっては」
と、嘆息の後をまた、
「弱ったことを……」