Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans

Aozora Bunko

「お珠さんが、可哀そうだと思えばこそ、おれは自分の父も説いたり、こうして働きに来てもいるんだ。……て、てめえのような奴の為なら」

すると与右衛門は、かつて、いくら怒ってもこれ程な形相は見せなかったものを眼気から燃やして、

「わしの為に? ……。ばッ、馬鹿者っ」

と、呶鳴りつけた。

「わしは君侯と領民のあいだに在って、自分のする事の為にしているだけだ。津軽家の為とも考えていない。百姓達の為ともべつに考えていない。――しかしわし自身の為にでない事だけは天地に云い得るのだ」

「なななに云ってやがるんでッ。……てめえは今さら、夜逃げもできず、藩へも帰れねえからやっているのだ。こうやって、不平を云いながらも、百姓達が働いて来たのは、汝が恐いからじゃねえぞ、殿様が恐いからだ。もっと分りよく云やあ、磔刑や縛り首になっちゃ堪らねえから、涙をのんで、食えねえ中を、一揆も起こさずにやって来たんだ」

「だまれっ、わしはこの事業だけには、三軍を率いる将軍だっ。絶対にわしに従え、わしに従えん奴は来るなっ」

「オオ、誰が来てやるっ」

と捨てぜりふを投げて、安太郎は走りかけたが、赤く腫れた眼を振向けて、