Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans

Aozora Bunko

「げっ、そんな紐があったんですか」

「白魚の黒いのがあったって、紐のない芸妓なんかいるわけはない。おまえも存外、色里を知らない人だねえ」

「そして、与力衆や伝馬役人と、どういうわけでお宅で会っているんですか」

「その澪の伝兵衛が、ついこの春先、お縄になったのさ。ぱっと噂になって、あの妓が売れなくなったというのは、大泥棒の澪が紐だという事がお白洲で知れたからで、伝兵衛のお仕置は、獄門と極ったらしいが、どうしても、あの妓はそれを助けたいというので、お上の沙汰も金次第だから、その筋へそっと贈す賄賂の金を工面していたらしい。……そこへおまえさんという鴨がかかったから、早速、馴じみの与力衆から手を廻して、今、わたしの出て来る前に、離室でその取引さ」

「ヘエ、じゃああの金で、澪の伝兵衛とかいう泥棒の男の生命が助かるんですか」

「まさか、お追放とはゆかないけれど、獄門のところを遠島ぐらいにはなるのは御定法とされている。――つまらない眼に遭ったのはおまえさんさ。もう金のほうは諦めものだが、この上にまだ、曰くつきの妓にかかっていると、どんな目にあうかも知れないから、親しい誼みに、一言教えておくよ。