Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
「いえ、あの……岩公が」
「何をいうかと思えば、お菰の岩公を。はははは、おかしな奴じゃ、なるほど、岩公もふびんだが為した罪業、悪因悪果じゃ。あのお武家の熱い根気にも、わしは感じた。もう今夜で、三日三晩、ああしてござる」
「嫌な人ですね」
「お武家として、立派な事だ。でも、若い奴らは、頑として意地張ったまま、岩公を渡さぬようだが、もう輿入れも近いのに迷惑千万、あしたは、わしが若い者を説いて、渡してやろうと、思うているのじゃ」
「お父さんの情なしっ」
と、お次は、袂で父を打つ真似して、
「嫌です、私は嫌」と、かぶりを振った。
泣いているのである。三右衛門は、単純な処女の感傷とおかしく眺めていたが、果てしのない彼女の涙に、
「なぜ、そんなに」
と、少しきつい眼で咎めた。
「でも、私は何だか。――お父様、後生ですから、助けてやって」
「そうは行かない。お武家様が、見張っているものを」
「けれど、こうなれば……」と、お次は、一心になって考えたような智慧を、父の膝に甘えて囁いた。
「庄吉をよべ」
しばらくすると、彼の居間で、手が鳴った。若い者の庄吉は、主人の三右衛門と何か密々と話し込んでいたが、翌朝になると、向う鉢巻をした十人ばかりの男達と一緒に、