Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
あの、棒振り剣術の先生は、まだやっとるか」
「おるが、この頃は、中風で剣術どころでねえでの。片手に鍬、片手に鎌で、箸を持つ手は、百姓にはねえだ。何んせい、こッぴどい運上やら、助郷やら」
「相変らず、年貢の愚痴か。村は、変らんなあ」
「佐久間修理が悪いというこった」
「象山先生は、達観の士だ。百姓たちには、あのお方の偉さがわからん。それは、時勢が分らんからだが」
「そうかの。おめえ、象山びいきになったか」
「む。……ウム。……それや拙者も、村にいた頃は、無智の仲間じゃったから、象山先生の馬面が、癪で、石を抛った事もあるが、上方へ参って、分ったな。今度、高島秋帆先生の砲式を入れるために帰国されたのじゃ」
「あんな、大砲など、莫大な金をかけて、どうするつもりだ。やくたいもねえ」
「ははは。今に、わかる」
「今に――今にといってれば、一揆が起るぞ。百姓は、もう絞る血もねえで」
「一揆」
と、要助は憫笑するように、
「おぬし、やる気か」
「おらあ、やりともねえが」
「台所喧嘩、よい程に、やめんか。――今はそんな場合じゃない。外夷と内憂と、日本は、重大な秋だ」
「日本――外夷――」
彦太の頭は、信州の何ヵ村だけの死活でいっぱいだったが、そういわれると、自分の眼界と知識が、要助とは、格段にかけ違っている気がして、