Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans

Aozora Bunko

この中にこそ、……と思ったが、誰も、そんな話にふれる者はなく、河岸の者や、附近の町人が集まると、黒船がどうの、尊攘党がどうのと、昂奮した。時々には、近くに、時事を諷した落首が貼られたり、瓦版の呼売りが、京都の志士の暗躍や、市井の押込み沙汰などを、触れ廻った。

「小塚ッ原で、京都の梅田雲浜、頼三樹三郎、橋本左内、その他、京都の志士が、首を並べて、斬られるそうだ」

そんな、噂もあって、彦太は、胸が躍った。そうした若い人達が、新しい社会を興すために、幕府顛覆を目企んでいることも、少し分ってきた。百姓の食えない事が、結局、藩主の所為である前に、幕府の制度がさせている事であるのも分った。

「要助がいったのは、ほんとなのだ。そして俺が、侍になって、自分も生き、人を生かすと決めた方針にも、誤りはないぞ」

彦太は、帳場の暇を見て、撃剣を習いに通った。

楓河岸に、伊能一雲の子、伊能矢柄が住んでいた。一刀流で人格者だった。

「出精すれば、上がる質だ。飽まずに、やんなさい」

代稽古が、いった。

彦太は、多少田舎で下地があったし、何でも、侍になろうという気ごみが、竹刀にも燃えてるので、伊能矢柄にも、愛された。