Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 508 883 caractères · 1017 écrans
五
また、太刀は切先と、柄の部分とが、はっきり分れていて、その一方しか活用できないが、棒は両端が切先ともなり、穂先ともなって、それを自由自在に使いわける権之助の練磨は、飴屋が飴をのばすように、長くもし、短くもするのではないかと眼に怪しまれる程だった。
「権っ。気をつけいよ、その相手は、凡者でないぞ!」
不意に、その時、母屋の窓から、彼の老母がこう叫んだ。――武蔵が敵に感じていることを、老母も息子の身になって、同じように感じているのであった。
「でえじょうぶだよっ、おっ母!」
権は、すぐ横の小窓から、母が案じながら見ていることを知って、その勇猛に拍車をかけたが、一颯のうなりを肩越しに躱してはいって来た武蔵の体が、権の小手をつかんだと思うと、巨きな石でも降ろしたように、ずしんと地ひびきして権は背中で大地を打ち、足は高く星の空を蹴っていた。
「待たッしゃい! 牢人」
わが子の一命が今や危うしと思ったか、小窓に縋っていた老母は、そこの竹格子を突き破って、凄まじい一声を武蔵に浴びせ、その血相は、武蔵の次の行動に思わずためらいを与えた。
五
その時、老母の髪の毛が逆立って見えたのは、肉親として、さもある筈のところであろう。