Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
鬢の霜
一
……などといって、わたくしに、三味線を習えの、金持の人に近づけのと。……死ぬほどそれが辛うてなりません。大機さまが生きているうちは、大機さまの家へ逃げこんで、叔母に意見をしてもらいましたが、もうそのお人もないし……」
十兵衛は後悔した。よしない話を深問いして、かえって酒が醒めてしまったからである。彼は、小娘の純情が、可憐しくてならなくなった。
「奉公に出る気があるか。もし屋敷勤めでも望むなら、召使って遣わすほどに、日を改めて、訪ねてくるがよい」
放して帰す前に、十兵衛はそういった。そして途中が淋しいだろうからといって、若党の承平に町の灯の明るい辻まで、送って行ってやれなどとも吩咐けた。
鬢の霜
一
眼には見えない。眼に見える世相は、泰平というしかない。だが何となく、人心のうちに、不安がある。松の内らしい鼓の音や、神楽笛は町を流れていたが、その音のどこかに悲調がこもっていた。
「年暮に迫って、とうとう駿河大納言様も、御切腹を迫られたそうな」
屠蘇の香の中に、そんな囁きが町で交わされている。暴君という世評こそあれ、現将軍とは血をわけている間がらの一門の人――その大納言家すら、幕府の確立というためには、犠牲にされるのかと思うと、庶民はお互いが、大名でなかった事を、むしろ密かに祝福した。