Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
春風烈霜
一
十兵衛もまた、友矩に応じて、角張りながら、
「御内意、辱うござる。だが、多分それがしは欠席申すやもしれぬ。その折には、君前よしなにお取り繕いねがいたい」
友矩は、狼狽して、
「いやそれは困るな。父上に仰せられず、わざわざてまえに立寄って、告げておけという将軍家のお心づかいに対しても。……ま、そんな事を云わずに、どうか当日は、打揃ってお越し下さい。兄上が来なければ、弟たちも、参り難いではございませぬか」
初めて自分から砕けて、今度は宥めるように云った。十兵衛は、恩にでも着せるような彼の口吻が気に入らなかったが、友矩が態度を改めると、機嫌を直して、
「いや、行かない事はない。行けたら行く」
と、云った。
春風烈霜
一
汐留川の地先に新造船の安宅丸が、花嫁のように幔幕や幟に飾られて繋いである。
家光は、春の海を四望にして、宴を張った。
寔に泰平の盛事である。やがて群臣の小舟をつらねて、浜御殿へ休憩に上がり、数寄屋で茶をのむ。茶事が終ってまた、広芝の浜座敷に寛いだ。
旗本の子弟がたくさん陪席に招かれて来ていた。親どもは、こういう機にわが子を将軍の謁に進めておくことは、一生の栄達の緒になると考え、武技の上覧を、側衆まで伺い出た。