Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
毒
一
今の父の面には微塵もそんな弛みはない。寸分の情も隙も見せない。
「おのれ如き性根の者が、柳生家の子よ、柳生流のつかい手よと、世に思われては、わが家の流を誤るのみか、流祖の御恥辱と申さねばならぬ。それもこれも、上様より戴く高禄に安んじ、子に愚かなるこの父の許にいて、修行の精進を心に失うておる証拠でのうて何であろう。今日限り、そのような人間は、子でない父でない。勘当申しつけた。――上様のおん前にて、屹度、義絶申し渡したぞ。口惜しくば、その性根のたたき直るまで、修行いたして参れ。――ええ、見るも忌わしい奴」
云いながら、但馬守の手にある木剣は、丁々と、又十郎の五体を何度も打ち続けていた。
「酷い……余りな一徹」
将軍家は眉をひそめて、側にいる友矩へ止めろと命じた。友矩が出てゆくと、他の人々もむらがり寄って、なお怒り歇まない但馬守と、声もなく地に俯っ伏している又十郎の間とを、ようやく分け隔て連れて行った。
毒
一
四男の右門は、今日の浜御成のお招きを、病気といって行かなかった。兄達のいない留守の間のほうが、前々から、むしろ遥かに楽しかった。
だが、楽しい半日も、もう暮れかかっていた。