Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans
ところどころに紅霞があった。桃でなければ山桜であろう。
今、一団の山鳩が、竜巻のように舞い上がった。と、パッと八方へ散った。が、再び一つに集まり、灰色の翼で日光を切り、湖水の岸まで翔けて来た。と、にわかに方向を変え、樹海の方へ引き返して行った。どうやら何かに驚いたらしい。はたして松の梢から一羽の鷹が舞い上がった。そうして鳩の群を追っかけて行った。
湖面は一所銀のように光り、一所風に波立っていた。永い永い冬眠から、呼び覚まされた湖水の水は、しかしまだ何んとなく寝呆けていた。眠気にドンヨリと膨らんでいた。
そうして色も冴えなかった。ただ、元気なのは水鳥で、喧しくカッカッと啼き立てながら、水掻で水を刎ね飛ばしていた。
そうして今や赤帆の船が、辷るように駛って行くのであった。
船首と船尾とに船夫がいた。纐纈布の袍を着た、若い逞しい船夫であったが、去年の初秋甚太郎を、纐纈城へ攫って行った、その船夫の中の二人であった。
「いい気持ちだ! 風が吹く! 暖い風だ! 春風だ!」
甚太郎は尚もはしゃぐのであった。
「船頭、頼む、廻わしてくれ! グルリと船を廻わしてくれ! 一巡湖水を廻わるのよ。