Classiques japonais avec furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans
三
相違ない。つまり彼の左の腕は、第二関節から脱げているのであった。
三
新来の病人の手のない袖の、左側に並んで突き出されているのは、普通の人間の腕から見て、二倍も太い腕であった。肘から指までがギッシリと、大小の瘤で埋まっていた。それはむしろ腕というより、脛といった方がいいようであった。これは老人の腕であった。結節のために膨れ上がり、大きさが二倍になったのであった。脛のような腕は上下に揺れた。それが下へ下がった時、焔の舌がそれを嘗めた。神経の麻痺したその腕は、なんの痛痒も感じないと見え、引っ込まそうとはしなかった。
老人の腕のすぐ側に、小さい子供の手があった。これだけは人間の手であった。その手は時々悪戯をした。老人の手をつっ突いたり、燃え上がる焔を煽いだりした。だが一本の母指の附け根に、黄色い腫物が出来ていた。間もなくそこから母指がポロリと脱げるに相違ない。
子供を抱いている母親の両手は、布で隙間なく巻かれていた。
火は元気よく燃えていた。
しかし高くは燃え上がらなかった。そして燃え上がっては困るのでもあった。火柱の主と誤られ、鉄砲を打たれる恐れがあった。