Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
「そんな事に抜かりはねえ。朝日湯の番台の親爺に訊くと、亥刻(十時)少し前にやって来て、自慢の喉で新内を唸りながら半刻(一時間)ばかりポチャポチャやっていたって言いますぜ」
「人でも殺そうというほどの野郎なら、わざと半刻ぐらいは下手な新内でも唸っているだろう。後か先に、ほんのちょいと庭口へ廻れば、仕事は済むんだから」
「親分までそのつもりじゃ話が出来ねえ」
ガラッ八はすっかり悄気てしまいます。
「ところで、死骸の傷は斜め横に真一文字に付いてると言ったね」
「そうですよ」
「鎌鼬なら、銭形に付くか、筋か骨に沿って曲った傷が付くから、やはり人が切ったに間違いはないね、――ところで、切口の肉は、どんな工合になっているんだ」
「それが可怪しいんだよ、親分、恐ろしく反って、何かこう鉞ででも割いたような工合だ」
「斧や鉞で、喉を割く奴はあるまい、峰の高い刃物――たぶん合せ剃刀かな」
「えッ」
合せ剃刀と睨んだのは慧眼ですが、それにしても下手人はますますわからなくなるばかりです。
平次はとうとう今戸まで出掛けてみる気になりました。三輪の万七の鼻を明かすつもりは毛頭なかったのですが。