Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

二

「馬鹿なことをしちゃならねえ、――あれを見るがいい」

平次の指さした方を見ると、十七八の綺麗な娘が一人、老巡礼の後を追って、どこまでもどこまでも見え隠れに跟けているのです。

「ヘエ、――筋がありそうですね、親分」

「手前はあの娘を知らないのか」

「この辺の者じゃありませんよ」

「この辺の者で、あれほどのきりょうなら、八五郎が知らないはずはないだろう」

「まア、そう言ったようなもので――」

「いやな野郎だな――とにかく、あの老爺が鳥屋につくまで、後を跟けてみるがいい。とんだ草臥儲けかも知れないが」

平次はそれっきり、老巡礼も、娘も見捨ててしまいました。八五郎に言いつけておけば、地獄の底までも、執念深く跟けて行くことが解っているのです。

二

この巷の一些事が銭形平次の勘を裏切らずに、翌々日は思いも寄らぬ大事件になって現れました。

「親分、――来ましたぜ、あの娘が?」

「とうとう」

ガラッ八の八五郎が、あわてて注進して来るのを、平次は妙に予期したような心持で待ち構えていたのでした。一昨日老巡礼を跟けた娘の顔には、不思議な疑惑の色がありありと見えたばかりでなく、平次の方に記憶がなくとも、娘の方では平次をよく知っている様子だったのです。