Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
三
「よく磨ぎ込んであるね。柄に少し籐を巻いて、――素人の使う品じゃねえ」
「この通り、焼印が捺してあるよ」
金太は掌の中に小刀の柄を返して見せました。裏には丸に吉の字の焼印がマザマザと捺してあるのです。
「そいつは?」
と平次。
「大工の吉五郎の道具だよ」
「えッ――、お留坊の親父の?」
「その通りさ、こんなに早く犯人が挙がるとは思わなかった。下っ引が二人飛んで行ったから、追っ付けしょっ引いて来るはずさ」
大根畠の金太はこの上もなく得意でした。銭形平次の鼻をあかした快感にひたって、ニヤリニヤリと悦に入っております。
「そいつは変じゃないか、大根畠の兄哥」
平次は顔を挙げました。
「何が変なんだ、銭形の」
「傷と刃物が合わないぜ、――お柳の頸筋を斬ったのは、薄刃の匕首だ。肉もはぜずに、糸を引いたように見えるが、うんと深く切り込んである。そんな肉の厚い三角に尖った小刀じゃない」
「…………」
「下手人は誰だか解らないが、お柳を殺したのは、その吉の道具でないことだけは確かだぜ」
平次は静かに言い切ります。
三
「八、見世物にされちゃ死んだお柳が可哀相だ。手前も満更知らない仲じゃあるめえ、菰でもかけてやるがいい」