Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
四
これなら五分と五分――いや七分と三分ぐらいかも知れませんが、とにかく、親分のお小言も緩和されるだろうと思ったのです。
徳蔵稲荷の前へ帰って来ると、黒山の人だかり。
「ハイヨハイヨ」
野次馬を分けて入ってみると、玉垣の下、紅白の鈴の緒で縛られた堂守の死体を前に、銭形平次は腕を拱いて考えているところでした。
「親分、これはどうした事です」
「おお、八か、あの娘はどうした」
「入谷まで跟けて行ったんですが、恐ろしい八幡の藪知らずの抜け道へ入り込んで、とうとう消えっちまいましたよ」
「何? 見失った? 馬鹿野郎ッ」
「その代り親分、あの浪人者は手習師匠でないってことまで突き止めて来ましたぜ」
「そんな事を誰が頼んだ、馬鹿ッ、向うへ行ってしまえ」
「ヘエ」
ガラッ八は、まことに滅茶滅茶です。
四
徳蔵稲荷の堂守殺しは、それっきり下手人が判りませんでした。銭形の平次は身一つに引受けて、いろいろ探索の手を費やしましたが、何としても解りません。
仁三郎は全くの一人者で、金も係累も、人に怨みを買う覚えもなく、その上、賽銭箱が無事で、取られた物といっては、拝殿の鈴だけ。これも仁三郎を縛るために、鈴の緒を引き千切った時、一緒に転げ落ちたのを、そのまま誰か拾って猫ばばをきめ込んだのかもわかりません。