Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
五
五
平次は間もなく、養い娘のお縫の部屋に案内されました。
十九と聞きましたが、境遇のせいか、年よりはふけて、二十二三と言っても通るでしょう。少し陰気な感じですが、素晴らしい美人で、何となく藪蔭に咲き誇っている月見草を思わせる娘でした。
「お嬢さん、御免下さい」
「…………」
お縫はなんと挨拶していいか、見当も付かない様子で黙礼しました。
「この剃刀はお嬢さんのでしょうね」
「え」
「お町が殺された場所にあったんですが」
「えッ」
見る見るお縫の顔は真っ蒼になりました。唇からサッと血の気が失せると、眼を大きく見開いて、頬の肉が、いたましい痙攣を起します。
「しばらくお預かりしますよ、お嬢さん」
「…………」
「今晩、御飯が済んでから、どこかへ出かけませんか」
と改めて平次。
「え、どこへも」
「奉公人達は、しばらくの間、お嬢さんを見掛けなかったと言いますが、どこに居なすったんです」
「ここに居りました」
「ここに?」
「え、私はどうかすると、半日ぐらい、誰にも逢わずにここに居ることがあります」
もうこれ以上は訊くこともなかったでしょう。
「お邪魔でした。お嬢さん、お寝みなさいまし」