Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
六
主人にも番頭にも小僧にも見せて、三千両の盗人はこの手紙を書いた人間だから、明日と言わず、今日のうちに縛られるだろう――とこう言うんだ」
「本当ですかい、親分」
「本当らしく持ちかけさえすればいい。あとの事は、またあとで考え出そうじゃないか」
「…………」
平次の言い付けは、いつでも意味深長なことを知っているだけに、八五郎はそれ以上訊き返そうともしません。
六
翌る日平次が谷中の清養寺へ行ったのは、まだ辰刻(八時)少し過ぎ、お類が朝の膳を片づけて、寺男の弥十は庭の草を毟り始めた時分でした。
一応住職にも小僧にも逢い、壊された潜戸から、掘り返された新墓、砂利や古金を詰めた三つの千両箱を見すましましたが、八五郎の報告以上の手掛りは一つもありません。
「玉川砂利に古金物か、――どこかの石置場か、普請場へ行けば手に入るだろう。金物も古釘と鍋の破片と選り分けてあるところをみると、鍛冶屋の物置からでも盗んで来たものだろう。これは手掛りになるまいな」
「…………」
千両箱の封印も泥で滅茶滅茶、春木屋の主人に鑑定がつかないぐらいですから、平次に解るわけはありません。
「とにかく、千両箱が寺へ着いた時は、もう中味が替っていたに違いない。