Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
銭形平次捕物控
一
一
「やい、ガラッ八」
「ガラッ八は人聞きが悪いなア、後生だから、八とか、八公とか言っておくんなさいな」
「つまらねエ見得を張りやがるな、側に美しい新造でも居る時は、八さんとか、八兄哥とか言ってやるよ、平常使いはガラッ八で沢山だ。贅沢を言うな」
「情けねえ綽名を取っちゃったものさね。せめて、銭形の平次親分の片腕で、小判形の八五郎とか何とか言や――」
「馬鹿野郎、人様が見て笑ってるぜ、往来で見得なんか切りやがって」
「ヘエ」
捕物の名人、銭形の平次と、その子分ガラッ八は、そんな無駄を言いながら、浜町河岸を両国の方へ歩いておりました。
逢えばつまらない無駄ばかり言っておりますが、二人は妙に気の合った親分子分で、平次のような頭の良い岡っ引にとっては、少し脳味噌の少ない、その代り正直者で骨惜しみをしないガラッ八ぐらいのところが、ちょうど手頃な助手でもあったのでしょう。
「ところで、八」
「へッ、有難えことに、今度はガラ抜きと来たね、何です親分」
「今日の行先を知っているだろうな」
「知りませんよ、いきなり親分が、サア行こう、サア行こう――て言うから跟いて来たんで、時分が時分だから、大方、“百尺”でも奢って下さるんでしょう」