Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
「あッ」
「待ちな」
と言う声を後に二階の縁側の欄干を越えると、庇を渡って、腹ん這いに雨樋に手が掛りました。
「御用ッ」
続いて飛付いたのは、先刻から虎視眈々として、一座をねめ廻していた石原の利助、縁側へ飛出して、曲者の後から欄干を越えようとする前へ、
「ちょいと親分、私の文身も見てやって下さいな」
と立ち塞がった者があります。
「えッ、邪魔だッ」
「あれさ、石原の親分、あんなヒョロヒョロ蛇より、もっと面白いものをお目にかけようじゃありませんか」
絡み付いて、利助を引戻したのは、この店の女中とも、客ともつかぬ、変な様子をしておりますが、二十二三の滅法美しい女。
「えッ、何をしやがるんだ、手前のお蔭で、大事な捕物を逃がしたじゃないか」
女を突き飛ばした利助、同じく屋根を渡って、下へ飛降りましたが、ほんのしばらく手間取るうちに、怪しい男はどこへ逃げたか、影も形もありません。
一方利助に突き飛ばされた女、起き上がると思いの外ケロリとして、
「文身がありさえすりゃ、女だって構やしませんわねエ」
少し媚を含んだ調子で、世話人の方へやって来ました。
「そりゃいいとも、お前さんを入れてちょうど百人だ。