Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
四
その上、恐ろしく厳重な造りで、かすがいまで打ってありますから、一方が外れたのでないことは、たった一目で判ります。
「なるほど、これは可怪しい。殺されたんでなきゃア身投げだ」
と平次。
「物干から身投げってことはないぜ、親分」
ガラッ八は鼻の下を長くして、物干の下、母家と土蔵の間の狭い路地を見下ろしておりました。
「そこから飛降りてみな、八」
平次は妙なことを言います。
「下の石材に脳天を潰されるのは有難くないぜ、親分の前だが」
「石材を除けて飛降りたらどうだ」
「二間半もあっちゃ、足を挫きますぜ」
四
それから平次は、階下へ降りて、石材を置いてある空地の闇を舐めるように見廻しました。
「八、提灯を借りてくれ」
「いえ、私が持って参りましょう」
金之丞は母家へ入ると、すぐ提灯に灯を入れて持って来ました。
「これは大変だ」
石材の山を染めて、斑々たる碧血、全く眼も当てられません。
土蔵の修復に使った残りで、大小二三十の石は、何の意味もなく積んでありますが、そのうちの幾つかは庇の下にハミ出して、それが、お安の頭を打ったのでしょう、わけても、沢庵の重しほどの三四貫もあろうと思われる御影の三角石は、蘇芳を塗ったように紅に染んで、提灯を近づけて見ると、髪の毛らしいものが二筋三筋粘り付いております。