Classiques japonais avec furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lisez 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 173 309 caractères · 352 écrans
若狭の武田義統を頼って、亡命将軍の一行は、
「いかに京都を奪回すか」
と、諸国の武将の頼み効いある者を、物色していた時なのである。
「朝倉家こそは」
と、お味方と見込んで、細川殿は将軍家の旨を帯び、その交渉に幾度となく、一乗谷の金ヶ崎城へ見えられた。そしてわしの御主人とも、御懇意になった。
義景公は、亡命の将軍家へ、欣んで加勢を承諾されたが、朝倉家の内情は、前にもいったとおりなので、その後将軍家が身を寄せられても、賢明な細川藤孝殿は、すぐ、
「これは頼りにならぬ」
と、察してしまい、とかく去就に迷っている月日がかなり長かった。
その結果、細川殿は、朝倉家の家中のうちから、ただ一人、明智光秀という人物を見出され、頼みがいある者と思われたか、人目忍んで、度々、わしの御主人を邸へ訪ねて来られた。
それがまた、朝倉家譜代の者の眼には、何か意味ありげに映って、よけい猜疑な眼で視られた。
「小人という者ほど始末の悪い者はない」
金ヶ崎城からお退がりになる度、御主人の血色には、我慢が抑えられていた。わしは多年、奉公したので、御気質もわかっているが、日頃は女性のようにお優しく、そして事理明白な頭脳を持っておられるが、非常な癇癖が内につつまれていた。