Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
「すると、宵に顔を見せて、千両箱を眺めるか触るかしたのは、その寺男と小坊主が二人というわけですね、親分」
ガラッ八は宵に帰った人間に眼をつけろと言った平次の言葉を思い出したのです。
「八兄哥、――一応その三人が怪しいと思うのは尤もだが、寺男の弥十はこの寺に四十年も勤めている忠義者で、取って七十一だぜ、小坊主は十三と十一、まだろくに味噌も擂れねえ」
「それでも、親分の前だが、手引きは出来ましょう」
「手引きがあるなら、あんな岩乗な潜戸を、外から外すような不器用なことはしねえよ」
万七は少しムッとした様子です。
「だが、三輪の親分、外から入るなら、何もあんなに骨を折って、念入りに岩乗な潜戸などを外すまでもなかったでしょう。寺方だから本堂の方にはろくな締りもねえ、少し窓は高いが、這い上がって廊下伝いに、杉戸一枚を開けさえすれば、すぐ庫裡じゃありませんか」
ガラッ八の明察、万七は少したじろぎました。
「大層目先が見えるようになったんだね、八兄哥」
「へッ、それほどでもねえ」
「馬鹿なッ」
大舌打を一つ、この法外な自惚男をさげすむように、万七と清吉は顔を見合せました。
「他に宵に帰ったのはありませんか、親分」